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とおくの山をみていたら

 

山は何でできているんだろうと

 

山の輪郭をたどりはじめる

 

葉っぱの連なりは

複雑に編まれたレースのよう

 

幾重にも重なりあう葉っぱ

隙間から透けてみえる空

 

遠いあの日、水平線をみつめた時みたいに

その縁(ふち)へ‥

 

風の呼びかけに

波のようにうねりはじめる山よ

 

山が揺れる

 

山は動いているのだ

 

 

 

そんなに遠くを求めないで

 

この身体の中に世界は在る

 

“あなた”とおもうだけで

いつの空へも飛べる

IMG_1149かなり明るく.jpg
野生の在りか

ザーザー雨が降る中、目の前を川が流れている
向こう岸には木々が重なってできた森がある

あたりにじわじわ闇がしみこんでゆく
見えなかった空間に濃密な気配が漂いはじめる
幹を揺らしていた木々は一体化し
大きな黒い塊になった

見えている層がぐらつく

どれくらい時間が経ったのだろうか
森までの距離はどれくらいだったか
もうわからない

深いところから音が鳴る…

光が射す方へ
ゆっくり全身をうねらせる
なめらかにうまれる形
反射するグラデーション

自分の人生がひもとかれるのをみる

ひとつの音のように
私はこの世界に加わっている
うまれては消え変わりつづける響き

今ここで出会うすべてと呼応し
深く息づいて
この世界を一緒につくっている

ひとりでは生きていない
同じものはひとつとしてない

あたらしい世界のはじまりの朝が
あたらしい私を告げる

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